【ポケモンサンムーン】 ポケットモンスター 3DS【実機対戦】完結に寄せて 感想とレビュー

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皆さんこんにちは、カナタです。

今回は、先日無事完結を迎えたやる夫スレ【ポケモンサンムーン】 ポケットモンスター 3DS【実機対戦】を紹介しつつ、全編を読んでの感想を語りたいと思います。

 

ポケモンサンムーン】ポケットモンスター 3DS【実機対戦】とは

やる夫スレシェルターにて連載された、遊戯王ポケモン二次創作作品です(現在完結済み)。

ちなみにやる夫スレとは、基本的にはAAを用いて複数作品の要素を混ぜ合わせた多重クロスオーバー作品のことを指します。こちらのスレでは遊戯王風の世界観の元、様々な作品のキャラクター達が登場しています。

こちらのスレではポケモンが現実に存在し、ポケモンバトルであらゆることが決まる世界を舞台にストーリーが展開されていきます。 

やる夫が人生でいいじゃない 【ポケモンORAS~SM】ポケットモンスター3D's【実機対戦】

完結済みですが、こちらのまとめサイト様にてまとめられていますので今からでも十分読めますよ!

ポケモンバトルがストーリーに組み込まれ、実際の対戦で役立つテクニックや思考が分かりやすく紹介されているのが特徴です。

シングル、ダブルといったメジャーなルールは勿論のこと、トリプルバトル、さかさバトル、GSルールといった幅広いルールに触れています。時には、7世代トリプルのような実機では再現不可能なルールが登場することも。作者の方は元トリプル勢ということもあって、トリプルバトルへのこだわりと熱意、知識量は圧巻の一言。

勿論、シングル・ダブルバトルに関しても非常に丁寧に説明されています。基礎的な知識から目からウロコの隠し技まで、紹介される知識はとにかく幅広い。ガチ勢の方まで唸らせるような見ごたえのある対戦が展開されます。

全編を通しての感想

こちらのスレでは一貫してポケモンバトルを通じてストーリーが進行していくわけですが、バトルの見ごたえがとにかく素晴らしかったです。登場するパーティは蜻蛉ルチェンサイクル、積み構築、スタンダード、ギミックパーティ等々多岐に渡ります。ストーリーの都合上マイナーなポケモンが多いですが(全員がガチガチで固めると使うポケモンが被りまくってあまりにも見栄えが悪くなってしまいますからね…)、戦術自体は第一線で通用するものばかり。スレを追うだけでも、対戦を行う上で必要な知識がしっかり身に付きます。

加えて、対戦を通じてキャラクター達の心情が生き生きと描き出されていることも魅力の一つです。このスレにおいて、ポケモンバトルはただ勝ち負けを決めるための手段ではありません。時には互いに分かり合うために、またある時には自分の信念を貫くために。生まれてしまった溝を埋めるために、相手の思いを受け止めるために。それぞれがそれぞれの思いを乗せて、ポケモン達と共に戦いを繰り広げます。

また、描かれる対戦を通じて作者さんの「強さ」に対する考え方が垣間見えるのも特筆すべきでしょう。強いとはどういうことなのか。どんなプレイヤーが、どんな立ち回りが「強い」のか。強さに至るために必要なものは何なのか。難しい問いではありますが、作者さんなりの答えを提示してくれます。

ただ、対戦にしっかりと力を入れているだけに、詳細な対戦の解説がやや省かれ気味になってしまっている部分だけはちょっとだけ残念です。ストーリー重視とのことなので致し方ないとは思いますが、次回作では是非とも1つ1つに詳細な解説を付けて欲しいですね。

独断と偏見で選ぶ、一押しバトル紹介

作中にて印象に残った対戦を紹介していきます。なお、紹介順は順位付けというわけではありませんのであしからず。

ネタバレになってしまう点についてはご容赦を…。

アルゴVSルパン

今作唯一の親子対決(というか血縁関係のあるキャラが殆どいない…)。比較的序盤のバトルですが、個人的には最後まで印象に残りました。

構築上圧倒的に不利を取ったアルゴ。実力においても勝っているとは言い難く、真っ当にやれば確実に潰される…。彼女が選んだのは、「勝つまでひたすら読みを通し続けること」でした。

あまりにも無謀、勝ちの目など無いに等しい。ですがアルゴは一手、また一手、更に一手と択を当て続け、死に物狂いで食らいついていきます。

何があっても負けられない、負けるわけにはいかない。その一念で無謀な賭けに挑み、じわりじわりと戦況を覆していく姿は格好いいことこの上ありません(あくまで創作物だから、ではありますが)。個人的にアルゴが好きなのもあり、この対戦は大好きです。

結月ゆかりVSユダ

修行を積んで実力を上げたユダが、作中最強と名高いゆかりに挑んだ一戦。

ユダが強くなっていることは十二分に伝わってきたのですが、ゆかりはその遥か上をいっていました。一つ一つの行動では読み勝っていた、択も通した、出来ることは全てやった。一見追い込んだように見えていた。だがしかし、それでも、まるで全然、程遠かった

こちらは読みを通した上で、相手に安定行動だけで叩き潰される。”本物の強者”との差が残酷なまでに突きつけられます。

なお、この対戦は作者さんが実際に体験したことが元になっているそうです。上には上がいるといいますが、それにしたってあまりにも遠すぎる…。

榊遊矢VS碇ゲンドウ

このスレでは終盤になるにつれて派手な対戦が増えていきますが、その中でも禁止伝説解禁+さかさバトル+夢特性ダークポケモン解禁という指折りのなんでもありバトル。

GS特有の無敵ギラティナコンボや、マルチスケイルダークルギアといったド派手なポケモン達は見ごたえ十分です。一般ポケモンが補助に回って上手くギラティナを生かしているあたりも流石。

一方の遊矢ですが、凶悪極まりない無敵ギラティナを一般ポケモンだけで突き崩すあたりは主人公の面目躍如といったところ。が、一般ポケモンだけでギラティナのみならずダークルギアにも立ち向かうことは流石に不可能…

絶体絶命のピンチに陥った時、遊矢が迷うことなく取った行動。このスレの大事なテーマにも関連し、ボスと対峙する上でも関わってくる行動でした。それが何だったのかはスレを読んでのお楽しみです。

ゲンドウは一見冷徹な敵役ですが、その行動はひたすらに人間味に溢れています。彼は過去に一体何があって今の地位に就いたのか…いつかどこかで語って欲しいですね。

結月ゆかりVSヤクモ(1戦目・2戦目)

本作の大ボス戦。7世代のポケモン達を投入した6世代トリプルという、トリプル勢の方にとっては涙なしでは見られないバトルです。禁止伝説山盛りで派手さもばっちり。

ヤクモの実力は明らかにゆかりの上をいっており、真っ当にやれば勝ち目は薄い。ならばどうするのか…実際に対戦を行う上でも使える技術が紹介されています。

ヤクモの精神的な壊れっぷり、そして対戦における技術と考え方の人外さがプレイング、台詞、立ち振る舞いの端々から滲み出ています。正に狂気のラスボスというに相応しい存在です。かつては英雄と謳われたヤクモ。一体何が彼女をそこまで駆り立て、追い詰め、壊してしまったのか…。

是非とも一度読んでみて下さい。

榊遊矢VSユダ(4戦目)

物語が完結に差し掛かる中、幾度もぶつかってきた主人公とライバルが雌雄を決する対戦。

構成がかつての二人の対戦をなぞっていて、しかしお互いに以前とは比べ物にならないほど先を見据えて動いている。二人がどれだけ強くなったのかが実感出来ます。

今までに登場した手持ちポケモン達が余すところなく活躍し、ぶつかり合い、熾烈な攻防を繰り広げる。パーティパワーにおいて劣る遊矢ですが、相手の有効な行動をひたすら封じ続けることで互角以上に渡り合います。

最後の決め手となったポケモンは…。流石にそれをここで書いたりはしませんが、アツいことこの上ない決着だったとだけ言っておきます。

結月ゆかりVS朝霧アサギ

対戦に関しては順不同と書きましたが、この対戦に限っては別です。今作のラストバトルにしてベストバトル、文句のつけようがない激戦でした。

通したら即死の攻撃を次から次へと繰り出し続けるアサギと、全てを見切って即座に切り返すゆかり。1ターンごとに有利不利が目まぐるしく入れ替わり、息もつけない攻防が展開されます。予測もつかない攻防、”最強”と呼ばれる者同士が繰り広げる鎬の削り合い。

攻防の中でじわりじわりとアドバンテージに差が付き、いよいよ決着か!と誰もが思った瞬間にアサギが放った起死回生の一手。あれを読んだ瞬間、比喩や誇張ではなく文字通り鳥肌が立ちました。

実力は完全に拮抗していた両者。最後に勝負を分けたものは…。

これ以上は書きませんが、大好きなバトルであり落としどころも素晴らしかった…とだけ言っておきます。

おまけ 個人的に大好きなシーン

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激しくネタバレになるのでスクショ1枚で済ませますが、ここでのこれは最高だったなぁと…。個人的に活躍を待ち望んでいたキャラクターだっただけに嬉しかったですね。

最後に

如何だったでしょうか。スレを読んだ方にそうそう、ここが良かったんだよ!と共感してもらえたら。また、読んだことが無い方に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しい限りです。

作者さんは次回作も準備中であり、既に数話分の書き溜めがあるとのこと。こちらも楽しみでなりません。

また、この作者さんは以前トリプルバトルを扱った「やらない夫はプロのポケモントレーナーになるようです」というスレを連載していました。

やる夫が人生でいいじゃない やらない夫はプロのポケモントレーナーになるようです

こちらのスレもまとめサイト様にて読むことが出来ます。

僕自身今現在スレを読み進めているのですが、対戦パートの作り込みや今作以上に丁寧な解説などは圧巻の一言です。トリプルバトルが中心ではあるものの、他のルールにも通じるテクニックや考え方が紹介されています。こちらも興味があれば是非。

 

それでは、今回の記事はここまでとなります。最後までお付き合い頂きありがとうございました。また次回の記事にてお会いしましょう!それでは!